変化の話-1

いつからか、良い感情を素直に相手へ伝えるようになっていた。
僕は昔、そういったことを表に出すのは得策ではないしカッコ悪い事だって思ってた。なんだか少し恥ずかしいような行為が苦手だったんだ。優しくされても「ありがとう」すらろくに言わなかったし、別に頼んでねーよ なんて思ってる始末。なんてつまらない男だったんだろうって思うけど、それがそのころの僕だった。
人は一人じゃ生きていけないなんてよく聞くけれど、そんなわけがないだろう?俺は十分一人でも生きていける って本気で思ってたんだ。
「楽しかった」だとか「嬉しかった」だとか「好き」だとか。
「かっこいいよ」「かわいいよ」「似合うじゃん」「ありがとう」なんてのも。
今では自然と口にしているし、伝えられることをうれしく思う。だってすごい事だって思うんだ。僕が発した気持ちを聞いて、君が笑ってくれるなんて事がさ。
関西に来てそんな言葉をよく聞かせてくれる仲間に会って、自分も少しそうなれたような気がしてる。ややこしい話でも「まぁえぇんちゃう?」「なんとかなるやろ」「せやなーまぁえーかぁ!」「飲も飲もー」みたいな。(違うか?)
僕はモクモクモクモク考えるタイプだし、悪い未来ばかり想像しては絶望してしまうような性格だから、うまい具合に中和してもらってるんだと思う。今では中和を通り越して自分の適当さ加減に笑ってしまうこともあるし、色々気にする友達からは「しっかりしろ」とか「いい加減にしろ」なんて怒られることだってある。まぁ、あれこれ考えては不安になる気持ちは今でも多分に抱えているけれど。

確かに今でも一人で生きていけるとは思うよ。当時の考えにも理屈は通ってるし、可能だとは思う。
でもそんなのって楽しくないって思えてるんだ。