雨。傘に制服。

僕は中学1年あたりから本を読むようになった。その頃から本の値段はあまり変わっていない。対して僕が手にするお金は増えた。相対的にお金の価値が下がり、それは同時に物の価値が下がる事を意味する。「お金じゃない」なんていうけれど、基準はやはりお金だろう。
かといって本に価値を認めなくなったのか?というとそんな事はまったくない。本の値段というのは物質の値段であり、物語、内容の価値ではないのだ。
これが音楽になるとどうだ。アルバムを1枚買ってしまったら他に何もできなくなったあの頃。僕はいつも「お前に俺の1ヶ月を捧げるだけの価値があるのか?」なんてジャケットを睨み付けながら悩んでいた。あの頃の僕にとってのCDは圧倒的に高価で、かつ1時間で消費してしまう超贅沢品。その時の僕にとって、CDに収められている1時間は僕の1ヶ月と等価だった。そんなフウにして手に入れたものと、今簡単手に入れているものが自分の中で同価値でいられない。僕の中に矛盾がある。
あの頃、今のように簡単に音楽を手に入れられてしまっていたら、僕は音楽好きにはなっていなかったのかもしれない。

今日、関西地方は雨がぱらつき、高校生が傘を差して登校していた。なんだか綺麗だったんだ。
こりゃあ金じゃ買えないな なんて思った。