Happy?

国のない男

国のない男

ずっと前に買っていたのだけれどなぜか読んでいなかったヴォネガットを読了。
この本と、寅次郎物語のネタばれが少しだけあるので、一応隠します。

おじさんの、ほかの人間に対するいちばんの不満は、自分が幸せなのにそれがわかっていない連中が多すぎるという事だった。夏、わたしはおじといっしょにリンゴの木の下でレモネードを飲みながら、あれこれとりとめもないおしゃべりをした。ミツバチが羽音を立てるみたいな、のんびりした会話だ。こんなとき、おじさんは気持ちのいいおしゃべりを突然やめて、大声でこう言った。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」と。

日曜日、綺麗な月が出ている夕暮れに気持ちのいい風が吹いていて、僕は彼女と中華料理屋さんから駅までの川沿いの道を歩いていた。「きれいだなぁ」って言ってみたら、よく分からない顔をされて流された。
僕も割とよく「あぁ、幸せだなぁ」と思うたちだ。
そういえば、僕がしっかり観た唯一の「男はつらいよ」で、寅さんが放つ名台詞がある。
台詞は曖昧だけど、寅さんが甥っ子に「人間は何のために生きてるの?」って聞かれた時の答え。
「難しいことはわからねぇけど、長い事生きてるとなぁ、『あぁ、生きてて良かったなぁ』って思う事が何度かあるんだよ。そのために生きてるんじゃねぇかな」
(この回は)この台詞そのまんまの映画で、これを観て以来男はつらいよに興味を持っているけれど、他のはまだ観れていない。